会社を設立するとき、資本金はいくらにすべきでしょうか?
最初の起業で検討すべき代表的な項目は以下のとおりです。
1・税務上の影響
2・将来の資金回収
3・信頼度
1・税務上の影響
可能であれば資本金はあまり大きくないほうが無難です。
それにはいくつかの理由がありますが、税務上の理由が一番大きいです。
資本金が1,000万円以上の場合は設立第1期目から消費税の納税義務者となります。
逆に1,000万円未満の場合は設立1期目~2期目は基本的に免税となります。
(2期目については一定の条件あり)
本来事業者は事業を通じて預かった消費税と支払った消費税の差額を国に納付する義務があります。
しかし一定の免税事業者はその差額である消費税の納付を免除されています。
その免税の条件の一つが資本金の金額となります。
また均等割という会社が納める市県民税があります。
こちらは資本金が1千万円を超えることで負担が増えます。
具体的な例としては、年間7万円→年間18万円というパターンが最も多いです。
2・将来の資金回収
資本金の金額を決定するときに、実際の開業資金や運転資金の必要額を資本金とする考え方があります。
こちらの考え方はものすごく正しく、まさにこれ以外に検討の余地がないくらい真っ当な資本金の決め方です。
ただ、1の税務上の理由もさることながら、資金回収の観点からも資本金の金額は、
実際の必要資金よりも、少なめにしておくべきです。
資本金を拠出するのは代表者ということが多いと思います。
資本金として資金を会社に入れてしまうと、その後に資金に余裕が出たとしても
その資金を引き揚げることができません。
資本金として会社に入れたお金は、会社のお金なのです。
その会社のお金を自分のお金として回収してしまうと、会社からお金を借りたことになってしまいます。
減資するという方法もありますが、資本金は登記事項であるため余計な登記費用や手間がかかります。
そこで実際の資本金は少なくしておき、足りない資金は代表者借入などで対応します。
そうすることによって資金が余ったときには、その借入の返済として受け取ればいいので、
自分の資金の回収が容易になります。
以上の観点からも資本金はあまり大き過ぎないのがベストです。
3・信頼度
ここまで「資本金はなるべく少なく」と説明してきました。
ただここで逆に考慮しなければならないのが、信頼度です。
あまりにも少なすぎる資本金はやはり対外的な信頼度が低くなっていまいます。
資本金は登記事項なので、誰でもその会社の資本金の金額を知ることができます。
たまに登記した金額より大きな金額をホームページなどに載せている会社がありますが、これはオススメできません。
すぐに分かってしまうことなので、嘘がバレたときはさらに大きな信頼を失います。
またこれは信頼度の一環ですが、免許事業を行う場合は資本金がある程度大きくないと免許が下りない場合があります。
こちらの場合は1,2の理由で資本金を少なくし過ぎて、免許が下りないことがあっては本末転倒です。
なるべく少なくするのが基本ですが、設立する会社の目的などにより、信頼度にも注意しなければなりません。
まとめ
1・税務上、資金回収の観点から資本金はなるべく小さい方が良い
2・あまり小さすぎるのは逆に信頼度の問題が生じる場合がある