経営者が頭に入れておくべき 財産形成方法と出口戦略・2

前回は将来的な経営者の財産戦略のうち、自社株について説明しました。
「財」、「資産収入」に対する基本的考え方はこちらを御覧ください。

今回は2回目ということで「賃貸不動産」について説明します。

不動産を貸すことによって得られる賃貸料収入は、まさに資産収入です。
「賃貸用不動産」を多数所有すれば、それだけで生活することも可能です。

「賃貸不動産」も経営者の方が形成しやすい財産の一つです。
経営者の方が「賃貸不動産」を手に入れる方法をお伝えしたいと思います。

事業で使用する店舗や事務所・倉庫などについては、
「賃貸」「購入」のどちらかで利用していくことになります。

経営のセオリーとしては大きな設備投資(「購入」)はしないで、
身の丈にあった「賃貸」で事業を行うのが王道です。

理由は事業の規模に合わせた柔軟な対応が可能だからです。
また資金の支出と費用が同額となることから、
損益と資金繰りの管理、経営計画策定などの観点からも
望ましい選択肢と言えます。

特に起業当初は不動産の購入資金もなければ多額の借入も困難なので
どうしても選択肢は「賃貸」ということになってしまいます。

しかし会社に体力がつき、信用も得られるようになってきた時期には、
事業用不動産を「購入」するという選択肢も視野に入ってきます。

ここは将来を見据えて、しっかり検討すべき時期となります。

今後も事業の柔軟性や資金繰りを重視して「賃貸」で経営を続けるのか、
不動産を「購入」して自社物件を手に入れていくのか、

この岐路での決断は重要です。

 

もちろん経営の効率を重視して
そのまま「賃貸」で経営をしていくのも真っ当な選択肢です。
立派な自社ビルを建てたことが原因で、
経営が傾いてしまった会社は山のようにあります。
慎重にリスクヘッジ重視で会社を経営していくのも大切な考え方です。

しかし「賃貸」の場合はいくら家賃を支払っても
その不動産が自分のものになることはありません。

そこで事業用不動産を「購入」するという選択肢が生じます。

銀行借入などで資金調達をして不動産を購入、
家賃を支払う代わりに借入返済を行い、
返済が無事終了すれば不動産だけが残るという仕組みです。

簡単に言ってしまうとこのような流れなのですが、
この場合の返済計画には注意が必要です。

無理な返済計画は資金繰り悪化を招き、
事業に悪影響を及ぼしてしまいます。

しかし自己資金がある程度確保できていたり、
返済計画に無理がない場合は十分検討の余地があります。

資金繰り悪化や事業の将来展望など検討項目はありますが、
上手に計画を立てて借入返済が順調に進めば、財産が手に入ります。
「賃貸」のままでは一生手に入らなかった財産です。

そしてその財産は売却や賃貸への転用が可能な真の財産となります。

 

またこれとは少し違う考え方で、
最初から「賃貸用不動産」を購入するという考え方もあります。

この場合は本業の利益を担保に銀行から借入をします。
受取賃料で返済資金を捻出する計画になることが多いですが、
万が一賃料が減少したとしても本業から返済できる会社に対して、
銀行が融資をしてくれます。

業績が好調であり、すでに信用度も高い会社については、
将来の財産形成のためにこのような選択も可能となります。

不動産購入の際には、当然のことながら
投資金額、立地、投資対効果、将来性などの検討が必要です。
せっかく苦労して手に入れた不動産が
無価値となってしまっては意味がありません。
今は不動産の相場も上がっていますので、
将来は不動産の相場が下がってしまうことも十分考えられます。

しかしこういったことを十分検討したうえでの判断であれば、
不動産購入という選択肢は大きな財産形成のチャンスです。

将来の財産形成に向けて、
一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

まとめ

・事業用不動産については「賃貸」と「購入」の2つの選択肢がある
・将来の財産形成を考えれば「購入」という選択肢もあり
・「購入」の場合は資金繰りや借入返済計画に十分な注意が必要
・対象不動産の選定が大事(投資対効果や将来性など)

福田哲也代表取締役

投稿者の過去記事

S49年3月生まれ
仙台市出身
CFP・税理士

企業の税務や会計だけでなく、
社長の財産形成についても一緒に考える会計事務所を運営しています。

ご自身の財産、節税、経営について真剣にお考えの方、
お問い合わせお待ちしております。

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